残り時間







ザワザワ騒がしい店内で、あたしは一心不乱に作業を進めていた。

一分一秒が結果に大きく影響を及ぼす。

かなりのハイペースを維持してきた為にかなり苦しくなっているけど
絶対に、負ける事は許されない。

敗北は、許されないのだ。



あたしの矜持にかけて。



立会人がチラリと砂時計を確認する。

あと少し。

あと一匙。






「はくんっ」

最後の一匙を口にした瞬間。

周囲からは「おおおおお〜っ!!」と言うどよめきと歓声が上がる。

「とうとうっ、とうとう誰一人として完食する事のできなかった
チャレンジメニューの破れる日がやってまいりました!!
店主自慢の「スペシャルビッグバンパフェ改定2号」が、こんな
可愛らしい少女のどこに納まったというのでしょうか!!」

レードルを実況マイク代わりに叫び続けるウェイター君にお茶を頼んで
あたしはニッコリと微笑んで、ビッと親指を突きたてた。

同時に、最後の一粒を落とした砂時計。

「参った、うちの完敗や〜。ほら、これが賞金」

厨房から出てきたのはまだ若い女性パティシエ。

「今までたくさんの大食いチャレンジャーが来店したけど、
完食したのも、こんなに綺麗に食べてくれたのもリナちゃんが初めてやわ。
負けても悔しくないのって始めてかも知れんわ」

笑顔で差し出された手を、あたしもギュッと握り返す。

「こっちこそ、こんなに美味しくてボリュームたっぷりなパフェは初めて食べたわ。
次のチャレンジメニューが決まったら、ぜひ連絡ちょうだい」

「もちろん。 次は負けへんからね!」


食い倒れの町名物、甘味処「ころむびあ」では、フードファイターの皆様の
挑戦を、心よりお待ち申し上げております。











えと、石投げないで下さいね(涙)

フードファイトって、見るのは好きなんですけど個人的に許せない事がありまして。
それが、「器から零れまくってる盛り付け」と「散らかし放題の汚い食べ方」です。
せっかく美味しく作ったお料理なのに、丼から零れ落ちてトレーに落ちちゃってるとか
嫌なんですよ。分量に見合った器に入れれば問題解決なのになぁ・・・って。