耳掻きをする



こしょこしょと、細い竹素材の耳掻き棒で気持ちの良い時間を楽しむ。

この、痛い場所ギリギリまでカリカリと掻くのがたまらなく心地良いのだ、うん。

昔っからかーちゃんやねーちゃんにも「止めておきなさい」って注意されても
これだけは止められずに時々、いや、けっこう頻繁に耳鼻科のお世話になってたっけ。

左右の耳を掃除し終えて、くるんっとひっくり返した棒の先、
フアフアした梵天でくりくりと最後の一仕上げ♪

このゾクゾクッとした感触がたまらなひv

耳掻き棒にも色々種類があって、一番ポピュラーな竹素材のものから
金属製の先端がループしている奴にディスク上のもの、
プラスティック素材で先端が光るものから
最新式のファイバースコープ付きのなんてのまであるし。

でも、やはりスタンダードはこの、昔ながらの梵天つきの耳掻きでしょう♪

フンフンと気持ちよく掃除を終えたんだけど、まだなんか物足りないな。

そうだ! 

名案を思いついて、あたしはいそいそと隣の部屋へと足を運んだ。

そこにはあたしの友人達がテーブルの上にレポートの山を
築き、屍の山をさらしている。

昨日は徹夜だったもんね〜
主にガウリイの所為で。

スキップ制度を利用して一気に大学まで進学した賢いあたしや、
同じくスキップで院に在籍しているゼル、現役主席合格のアメリアと違って、
ガウリイは一芸入試だったもんねぇ。

まったく、良い友人を持っているからなんとか一緒にいられんのよ?判ってるの?

んが〜って、だらしなく口を開いて寝こけているガウリイの頭を持ち上げて、
よいしょっとあたしの太腿の上に乗せる。

長い金髪を掻き分けてグイッと耳をひっぱると、
「ぅう〜ん。・・・り・・・なぁ・・・なに、してるんだぁ?」
って間の抜けた声がしたけど。

「いいからジッとしてて。あたしのストレス発散なんだから♪」
さっさとお掃除を始めてしまう。

……う〜ん。あんまり大物がないなぁ。

もっとこう、「取れた!!」って達成感というか、
狩猟本能を満足させるようなのはないのかしら。

「ほら、反対向いて」

どさくさに紛れて人の腰に手を回そうとする奴を制して、ぐるんと体勢を変えさせる。

「いい? こんど不埒なまねをしたら、鼓膜まで掃除しちゃうからね?」

「……お、おう」

ようやく大人しくなった奴の耳を気分よく掃除していたら、ふと視線を感じて顔を上げたら。

「リナさん、なんか……ラブラブですね」

「お前ら、そういう事は二人っきりになってからやれ」

……あ、あんたらいつから起きてたの!?

ジト目とキラキラ、二つの視線に見つめられて、
なんだか急に恥ずかしくなってしまったあたし達だった。