湖の畔でそいつを捕まえた時、リナは少しだけ泣きそうな顔をした。
小さな、片手に収まるサイズの子猫。
くりっとした緑色の瞳と、おもちゃのように小さな手足。そして筆先ほどの長さの尻尾を頼りなげに揺らしている。
「あんたの居場所はここじゃないのよ」
ブレスレットのように緑色の首輪を通した右手で、リナは子猫の頭をグリグリと撫でると、そのまま首輪を子猫につけてやった。
ちりりん。
かろやかな鈴の音。
子猫がもぞりと動く度に首輪についた３つの鈴が鳴り響き共鳴を起こす。
「あんたは水猫、あんたとあの子は住む世界が違う。どんなにあの子を好きになっても、ずっと一緒にはいられないんのよ」
諭すように淡々と、しかし労わるようなリナの言葉をどこまで子猫が理解したのかはわからない。
だが。
「にぃ！」
子猫は一声、可愛らしい鳴き声をあげると、みるみる色を失い形を崩し音もなく湖に飛び込んだ。
飛沫も波紋も立てることなくするりと湖の溶け込み姿を消したのを見届けてから、リナは物陰に向かって手招きをした。
「おねえちゃん、ミアは？」
「ちゃんとおうちに帰ったわ」
「・・・そっか、よかった。じゃあもうだいじょうぶね」
物陰から顔を出した女の子は、にっこり笑ってありがとうと手を振るとまっすぐ町の方へと駆けて行った。
水に棲む精霊の愛玩動物である水猫は、希少な『材料』として時に闇市場で高く売買されるという。
だが、そんなことは女の子には何の関係もなかった。
あの子にとってあの水猫は悲しい時に偶然出会った、ちょっと不思議で大切な友達だったのだから。
「いつまで、お互いを覚えていられるのかな」
「さあな、意外と大人になっても覚えているかもしれないぞ」
ささやかな希望をつかの間、胸に留めて。オレ達も町へと足を向けた。
きまぐれに、出会った者の悲しみを吸い取るのだという水の猫。
吸い取った悲しみは鈴に形を変えて持ち去るのだという。

そんな存在に出会うことが幸福なのかそうでないのかは、結局オレにはわからないことだった。


ついったーで明夜さんとしていた話から。

あいかわらず色々とへこんだり落ち込んだりもしているけれど、テンパリながら愚痴っても嫌がらずに接してくれる友人達に感謝です。
それにしても、自分の用件で出かけようとするたびにことごとくアクシデント発生とか予定潰されるとか、まさかゾアメルグスターの呪いかなんかか！？と疑いたくもなりますけど、負けねぇ！　ぜってー自由を手に入れてやるっ！！と気合入れて頑張ります。
それでも無理な時は寝るに限る。睡眠=最良の現実逃避法です。
もうちょっと気持ちの切り替え上手になりたいものです、にゅっ。

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たちきさん＞９日の小話＆拍手の節分話に反応してくださってありがとうございますｖ
節分の二人のその後・・・ちょっと妄想してみます（笑）
期待せずに待ってていただけると嬉しいですｖ

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ちょっと見直しが出来たので抱き枕の６だけ出しました。

この気持ちをどう扱えばいいのか、とてもじゃないが今のあたしには決められそうになかった。
時折、眠たげに伏せられた瞼が震え、そこを縁取る長い睫がふさりと揺れる。
ねぇ、どうしてそんなに無防備でいられるの？
聞きたいけど、聞くのは少し躊躇われる。
背の高い、しなやかな体躯を今は大地に委ねている。
愛用の剣は彼の手から少し離れた場所に転がっていた。
とても疲れているのだろう、そんなの、わかりきったことだ。

「・・・リナ、怪我してねーかぁ？」
天を仰いだままの彼の口から零れたのは、あたしの身を案じる言葉で。
「・・・だいじょーぶ。ガウリイ、あなたは？」
「そっか。なら、よかった」
あたしの応えに安心したのか、話し終えると同時に健やかな寝息を立て始めた。
そりゃあ確かに大丈夫だけど！だからって、この状況で眠るか普通！？

小一時間前に盗賊達の襲撃を受けて、お定まりのやり取りを経ての戦闘開始。あとは野となれ山となれとばかりの手加減無用の反撃劇で、あっという間に勝敗はついていたはずだった。
彼が、必要以上にあたしを守ろうとしなければ。
確かに魔力が弱まる時期に入りかけていたし、出立前に恥ずかしながらも必要なことだからと、その事実を彼に告げもしていた。
もっともデリケートな乙女のプライバシーに関わる事柄を、身内でもない男性に告げねばならない気恥ずかしさと緊張感で、もしかしたら挙動不審な態度を取ってしまっていて、彼がそれを不調のせいだと思ったのかもしれない。
もしかしたら彼の側に他の理由があったのかもしれない
なんというか、とにかく彼がおせっかいでお人よしだってことはわかってる。女子供には優しくするのが信条だってことも。
だけど、あたしとしてはこんなことになるくらいなら、最初から役割分担でもしてさくっと楽に終わらせてしまった方が良かったんじゃないかと、たとえ魔法が使えなくてもあたしには剣があるって知ってるくせにと、文句の一つも言いたくなるってものだったりする。
泥まみれの金髪は乱れに乱れて、汗ばんだ頬に額に好き放題に引っ付いちゃっているし、服だってグローブだって以下同文。
あたしはただ守られるしか能のない女の子じゃない。そんなの、ガウリイは知っているはずなのに。
ぽふんとその場にしゃがんで、彼の重たい頭を腿の上に乗せてやる。彼ほどの戦士なら、幾ら疲れていてもこんなことをされたら即目を覚ますと思ったのに、起きるどころかむにゃむにゃと気持ちよさげな寝言を呟き、ごろりと寝返りを打った。収まりのいい位置を探してなのか、ガウリイにぐりぐりと頭を押し付けられるたびに、あたしの心臓はトクンと大きな音を立てた。
「ったく、守りたいんだかあやされたいんだか」
大所帯の敵の殆どを一手に引き受けて戦って、更にあたしの背中を守ってたんだもの、くたくたになって当然よ。
お陰であたしはあのへんてこな術を存分に観察できたし、最終的にその使い手である魔道士を倒すこともできた。
ヤツの初手を見た瞬間、必要な情報を吸い出したいとは思ったけど、それをガウリイと打ち合わせする余裕なんてありはしなかった。

指先で彼の顔に張り付いた髪を除けてやる。
くーすーと聞こえる呼吸の音は安定しているし、少し休めば復活してくることだろう。
「ねぇ、こんなにあたしを信用しちゃってもいいの？」
彼は知っている。
あたしが彼の持つ光の剣に興味を持っていることを。
買い取ることも研究することも頑として断るくせに、今、そんなに大切な剣を手から離しているなんて、さ。
目と鼻の先に転がっている光の剣、それを手に入れることはとてもたやすい。
この状況に、彼は危機感を抱かないのか？
あたしに剣も自分も委ねて平気なんだろうか。
あたしはまだ、彼に全幅の信頼を置いているわけじゃないのに。
・・・３０分経ったら起こしてやる。そう心に決めて、あたしはもうしばらくだけこの恥ずかしい体勢でいてあげることにした。



「ああ、そりゃあリナがリナだから」
「なによ、それ」
結局あたしが起こす前に起きてきたガウリイは、光の剣を手渡したあたしににっこりと笑って、言ったのだ。
「オレ、人を見る目はあるつもりなんだ」と。
まったく、始末に困るったらないじゃない。
ハンサムってのは笑うだけでもサマになるのに、そんな風に乙女の嬉しがるツボをポキュポキュ無造作に押さえまくってくるなんて。
「じゃあ、その剣ちょーだい」
「それはダメ」
ほら、ただ甘いだけじゃない。
「じゃあ、ちょっと借りるだけ！」
「それもダメ。お前さんに預けるとか怖すぎるだろ」
口ではそう言いながら、あたしを見つめる彼の目は優しい。まるで妹でも見るような、優しく包み込むような眼差しで。
しょーがない、ちょっとだけあたしも警戒心を緩めてあげましょーか。
旅の連れからそれ以上に、彼がどこまで着いてこられるかわからないけど。
チリッ。
急に胸の奥がざわめいた。
「なんで？」
首を捻っていると、いきなり手を取られて引っ張られる。
「どうした、腹でも減ったか？」
「そんなんじゃないわよ！」
たわいもない会話を交わしながら歩くうちに、いつしかあたしは胸の内に生まれた疑問を忘れ去っていて。

あの日感じたあの感覚が、恋の始まりだと自覚できるまでには、長い時間が必要だった。


脈絡もなく書き散らしー

桜も咲いて新学期も始まり、私の身辺もゆっくりと変化を始めました。とりあえず春恒例の学校関連書類記入大会はさくっと終わらせ、仕事の方も色々ありながらもぼちぼちなんとかやっています。
数ヶ月にわたるモル介護も、日曜日にミツを看取って終わりました。
これからは、これからも、拙サイトはマイペースでの更新になるんでしょうが、もしよろしければ気楽にお付き合いいただけたらと思います。

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１４日、02:55
拍手からご心配下さった方、お気遣い本当にありがとうございます。
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今日から東京電力管内では輪番停電が始まるそうです。
停電の影響により交通機関の運休等、ご不便なことも多くあるでしょう。既にめいっぱい頑張っている人に言う言葉じゃないかもしれませんが、今しばらく、どうか堪えて頑張って下さい。
関西電力からは周波数などの問題から現状以上の電力を送電することはできないということでヤシマ作戦には参加できませんが、じゃあ節電して浮いた分の電気料金を募金に充てるぞ！と自主節電に努めております。
被災地では救助活動が徐々に本格化してきましたね。
一人でも多くの人がご家族の下に帰れますよう、お祈りします。
報道では流れない長野や茨城の様子も気がかりですが、今はまだ手が届いていないところにも必ず支援の手は届きます。物流も滞っていますがこれから少しずつ良くなるはず。希望を捨てないで踏ん張ってください。



私が住んでいるのは震災の地神戸。当時震度７地域でした。
真っ暗な闇の中で何も出来ずに怯えるしかなかったことや、避難所で寝泊りしたこと、自衛隊の救援が来てくれた時とても心強かったことを今でも覚えています。もちろん、全国から差し伸べられた支援のありがたさも。
だから今回はあの時受けた恩を返す時だと思い、できることをやっていきます。個人レベルでできることはとても少ないですが、やらないよりはやったほうがいいですもんね。
被災地外の方でも不安になったりしている方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。そういう時は素直な気持ちを吐き出したり泣いたりすることで落ち着くこともありますから、どうか無理や我慢をされませんように。
非常時下でピリピリしてしまったりもしますが、そんな時は深呼吸して肩の力を抜いてりら〜っくす。ね？

お邪魔してきましたＩＮすかゆみ家。
仕事を終えてから最寄り駅に向かい、さて、どうしたものかーと「どうすればよい？」メールを送信。すると「まずは」「つぎに」「そして」と、連続して届く３文字メール。うーん、これは適当に歩けってことか？と缶コーヒー飲み飲み現場で考えていると　腕をがっしりと組んだすからさん＆ゆみこさん登場。既に見慣れたとはいえ、相変わらずのらぶらぶっぷりです。弓子さんのベリー笑顔が弾けてるしｗ
で、美味しいと評判のたこ焼きを買って。到着して。
並さんともご対面。（注　並さん＝この場合は羊さんの抱き枕＠すからさんの持ち物）この子は毎日のように弓子さんと遊んではすからさんを驚かしている悪戯っ子で。って、でかいよ！！
ツイッターなどで写メを見たり、抱き枕だと聞いて知っていたからある程度の大きさを予想していたんですが、想像以上にでかかった！！　そりゃあ天袋からぶら下がってたり獲物縛りでぶら下がってたら驚くわ！　とまぁ、現場の再現をしてもらって腹抱えて爆笑しまくりました。
そしてさりげに置いてある亀甲縛りのガウマグカップｗｗｗ
「洗うのめんどい」とか言いながらそのままにしている弓子さんとか、お菓子をあーんってされて照れながら食すすからさんを眺めながら　癒されるなぁ・・・と、ひたすらのんびりとすごさせてもらってきたのでした。
二人とも阿吽の呼吸というか、ほんとに息ぴったりで幸せそうでとても安心＆ちょっとかなりうらやましいぞ。

帰宅後は睡魔と闘いながらミツにご飯を食べさせて撃沈。昨日も帰宅後バタバタして、ちょっと横になった記憶を最後に撃沈したらしく、さっき目が覚めるまで深く激しく爆睡してた。起きて時計見てびっくりでした。

ニュースを見たら昨日は東北の方で大きな地震があったそうで、心よりお見舞い申し上げます。どうか被害が少なく済みますように！

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さっき起きて、ちょっと仮眠のつもりが深〜く寝入っていた事実に慌てて、とりあえずお風呂に行きました。昨日はそんなに忙しいとかいうわけじゃなかったはずなのに眠くてしょうがなくて、携帯を握り締めたまま健やかに落ちて。って、よく潰さなかったわ携帯！
いくら耐衝撃が自慢の一品ったって、開いた状態で圧迫したらヒンジ部分バッキリ逝くだろうと（汗）　もうちょいで体の下に敷きこんでいたかもしれなかったのがそこはかとない恐怖でした。

いくら啓蟄過ぎたからって早々に春眠しすぎ。コーヒーもカテキンも栄養剤もまるで効かない私の背中にはきっと堕落スイッチが装備されているんだ。
そういや堕落と墜落って似てるよね　ｂｙ　Ｒ君　

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